治療について
精神科の治療について
「リハビリテーション」という言葉には広い意味があります。リハビリテーションとは失われた機能を取り戻すといったイメージを持たれている方も多いかもしれません。
しかし、Rehabilitation(リハビリテーション)は、re(再び、戻す)とhabilis(適した、ふさわしい)という言葉から成り立っており、単に機能回復を図るだけではなく、「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きること」が重要で、そのために行なわれるすべての活動がリハビリテーションと言えます。
当院でも、入院されている患者様一人ひとりの「自分らしく生きる」を大切にしています。
そして、それを実現させるために、医師や看護師、作業療法士、精神保健福祉士など様々な職種がそれぞれの専門性を活かし、チームで患者様のリハビリテーションに当たっています。
退院に向けての取り組み
- 入院精神療法
- 精神科作業療法
- 服薬指導、服薬相談、服薬教室
- 生活機能訓練(SST)
- 精神科退院前訪問指導
- 地域移行支援事業
リハビリテーション課のご案内
当院のリハビリテーション課は、作業療法士がリハビリテーションの治療技術のひとつである作業療法(OT:Occupational Therapy)を用い、患者様に治療を提供しています。
そして、私たちはリカバリー(回復)の概念をもとにして作業療法を実施しています。リカバリーとは、疾患を抱える患者様が自己実現や生き方を主体的に追及するプロセスの事です。患者様ご本人の『こういう生活がしたい』という夢や希望を大切にし、その実現に向けたお手伝いをさせて頂いています。
作業療法とは?
人は暮らしの中で様々な『作業活動』をしています。例えば、料理などの家事をすること、音楽や物づくりなどを楽しむこと、体力作りや気分転換のためにスポーツをすること、人と協力しながら仕事をすることなどです。
作業療法はそのような『作業活動』により、生活感を取り戻していきます。さらに、対象者の健康な部分や強みを生かしながら生活を立て直し、自分らしい生活を切り開いていきます。
私たちが大切にしていること
私たちは、『夢へのリハビリテーション』、『社会に繋がるリハビリテーション』という考えのもと治療にあたっています。そのため、尊厳や人権を尊重し、一人一人に合わせたサポートを行ない、生活を応援するパートナーを目指します。
『夢へのリハビリテーション』、『社会に繋がるリハビリテーション』
「自分の望む生活」を目標にすることが、『夢へのリハビリテーション』となります。目標がはっきりすると、自分の取り組むべきことがみえてきます。
また、入院生活は社会生活とは離れがちなため、『社会とのつながり』を意識していくことも大切です。具体的には下の三角形のようなイメージで、作業療法の利用を進めていきます。
「のんびり期」
まずは心と体の調子を整えるため、落ち着ける場所で過ごしながら・・・
- 生活リズムを整える
- 無理せず動き、ほどよく休む
- 好きなものから始めてみる
- 人のいる場に少しずつ参加してみる
「準備期」
自分は、どんな生活を望むのかを考え、活動範囲を広げながら・・・
- 昼間は起きて、ほどよく動く
- 必要なものに取り組み始めて、少しずつ生活感を取り戻していく
(たとえば、体力作り、コミュニケーションの練習、健康管理について学ぶ、料理 など)
「チャレンジ期」
望む生活に向けての社会参加を、出来ることからチャレンジしていきます・・・
- 実生活の場にふれるため、外出や外泊をしてみる
- 望む生活につながることをやってみる
(たとえば、働く練習、地域の人との交流を増やすなど)